今回は、こちらの本を紹介します。
新米主任ITIL使ってチーム改善します!
IT知識不要!小説型ITIL応用の指南書第2弾!
沢渡あまね 著
この本は沢渡あまね先生のITILシリーズの2作目となっていますが、こちらはITILの中でも特に以下の4つのポイントに焦点が当てられています。
サービスレベル管理
インシデント管理
問題管理
ナレッジ管理
また、主人公の友原京子を中心とした化粧品を販売する通信販売部を舞台にした物語になっているため非常に読みやすく、具体的な場面をイメージしながら理解を進められる1冊です。
※第一弾はこちら(>>新人ガールITIL使って業務プロセス改善します! IT知識不要!小説型ITIL応用の指南書)
ITの開発業務を対象としていないことが最大の特徴で、あらゆる業務に応用して読者の実際の業務にも生かせるのではないかと思います。
『定義できないものは、管理できない。管理できないものは、測定できない。測定できないものは、改善できない』-W・エドワーズ・デミング
という言葉を根底に話が進められ、ITエンジニアでなくともほとんどITの専門知識を必要とせず、若手チームリーダー、中堅社員の方には特にお勧めです。
4つのポイントについて簡単に私の感想を交えて紹介します。
サービスレベル管理
日頃、何をどこまで頑張れば良いですか?
私自身もハッとした問いかけでした。プロセスアプローチにおいても、プロセスにより発生するアウトプットとそのアウトプットの受領者はいるのですが、アウトプットの受領者、つまり顧客とのサービスレベルの合意がきちんと図られているか、サービスレベルの目標はきちんとあるか、サービスと定義される業務とともに考え直す機会となりました。
インシデント管理
そのトラブル、とりあえずナントカします!
ISO9001(JISQ9001)では「修正」と定義されている言葉ですが、応急対策としての方法が決まっているか?と言うことです。サービスを止めないため、あるいは最低限で進める業務は何なのか、予め緊急事態を想定して方法を決めておくと、現場での応急対応が可能になります。
文中では、アイスクリーム屋さんを例にわかりやすく表現されています。
問題管理
この悲劇、二度と起こすまい・・・
ISO9001(JISQ9001)では「処置」と定義されているものです。発生した問題を常に記録しておき、その問題に対する対策案や進捗を管理することは、同じ失敗を繰り返さない基本になります。ここで挙げられる問題とは、改善提案のような内部からの申告も含んで一括管理する、ということがポイントです。
管理はExcelで十分です。そのくらいで管理できないようなものは、もっと大きな別の問題があります。問題のリストアップから始めることが重要です。
このように書くと当たり前に実施していることのように思われますが、現場では、この問題管理が必ずしもうまくいかないのです。なぜなら、問題をいちいち記録したり対策を考えることは、上記のサービスレベルを達成するための日常業務とは別で考えられ、優先順位が低くとらえられがちだからです。
この物語ではその管理を友原主任が行っています。友原主任は、日常の電話対応業務から離れているためその対応が可能です。実業務でも、こういった役割と責任の明確化も必要なのではないでしょうか。
ナレッジ管理
みんなの知識、みんなで使おうよ!
個人が得た知識をチームで共有し活用する。これが組織力ですね。ISO9001(JISQ9001)でも「組織の知識」という形で要求されています。
ナレッジデータベースというと大仰に聞こえるかもしれませんが、簡単に言えば事例集です。こちらもExcelで十分です。
ポイントは2つ。①ナレッジデータベースの作成と活用、②「場」の創造 です。
作中では、朝会、夕会をセッティングして「場」を作っています。ナレッジデータベースを継続的に作成・活用していくための工夫こそが重要にはなりますが、個々の力量に頼らない組織としての生産性向上を目指す上で非常に大きなポイントとなる内容です。
マネジメントに対する考え方は、ITILとISO9001は非常によく似ています。この1冊は、それをより実務レベルしかも通信販売部というサービス等を意識しにくい業務を対象として描くことで、わかりやすく他の業務にも応用しやすく書かれています。
ぜひご一読ください!
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