製造業でなくとも、言わずと知れた5S。
5Sとは、
・整理(Seiri)
・整頓(Seiton)
・清掃(Seisou)
・清潔(Seiketsu)
・躾(Shituke)
ですね!(改めて言われるまでもないですが。)
どの企業も5Sは業務の基本として徹底していきたいはずなのですが、なかなか定着しないのが現実です。
部署や事業所の方針に「5Sの徹底!」と原点回帰で掲げる会社もあることから、意識しないと如何に定着しないかが伺えます。
さて、今回は、私がこれまでにコンサルティングを実践した中で、5S定着が上手くいった、あるいは5Sが自然と定着していたお客さまの共通点の中から、具体的にどのように定着させていったのかを紹介します。
ステップ1 なぜ5Sを実施するのか目的を共有する
ここで改めて質問です。
なぜ5Sが大事なのでしょう?
各製造業のお客さまに聞くと、こういう答えが返ってきます。
「キレイな方が気持ちいい」
「モノを探す無駄な時間が減る」
「作業効率が上がる」
「作業が標準化される」
etc…
確かにそうなんです。
確かにそうなんですが、これだと途中で行き詰まります。なぜなら、
気持ちよさや作業のやりやすさは人によって違うからです。
「オレはこの方がやりやすい!」
「オレは多少散らかってても気にならない」
「もう既にキレイだと思うよ」
こんな会話になってしまうんですね。
これだと継続も定着もしません。
じゃあ、上手くいっている会社はどういう目的を掲げているのか。
【お客さまに自信をもって紹介できる現場にしよう!】
【新卒就活生が「ここで働きたい」って思える現場にしよう!】
こういった目的や目標を掲げています。
作業の効率性などのあいまいな目標ではなく、キレイとかやりやすさとかの個人レベルでもなく、
『判断基準を会社から見た第三者におく』
ことがポイントです。
ぜひご参考に!
ステップ2 どこの5Sをやるのかを具体的に
さて、意識統一も済ませていざ進めようとしても、各自バラバラに行動したのでは成果が見えにくいです。
これは、製造業に限らず、人は成果が見えにくいとモチベーションを保てない生き物だからです。
そこで、まず最初に、「どこの5Sをやるのか」現場の写真を撮りましょう!
写真を撮る作業自体は各自でやっても構いません。
各々が、どんなところをやりたいかをとりあえず写真を撮ります。
そのあと、数人のチームで議論しましょう!
「人によって基準が全然違うなぁ」
ということにも気が付くはずです(笑)
そんな議論をしながら、どこをやるのか優先順位を決めるとともに、チームで集中的にどこの5Sをやるのかを決めるんですね!
そんなことをきっかけにチームのコミュニケーションも生まれますよ!
ステップ3 5Sの何をどうやるのかを具体的に
5Sの目的もやる場所も決まりました!さあやりましょう!
これでもまだ不十分で、意外なほど進まないです。
そこには“5Sのあいまいさ”が関係してきます。
冒頭でも紹介したように、5Sというのは、整理・整頓・清掃・清潔・躾のことです。
場所を決めたとしても、要らないものを廃棄するなどして整理するのか、今あるものを並べ替えて整頓するのか、ほこりなどを取って清掃するのか、実は各自で思っていることがバラバラだったりします。
5Sに成功している企業は、具体的に何をやるのか、ということまでチームの認識を共通にしています。
・壁をぞうきんで水拭きする
・1年以上使用していないものを棚から出す
・床面清掃でほうきで掃く
etc…
こんな超具体的なやり方までをチームで認識合わせしていると、
「まず要らないもの捨てようぜ!」
「まずエアで埃飛ばそうぜ!」
なんていうディスカッションが進み、具体的な作業方法をイメージできるので、作業に取り掛かれるようになるんです。
これを写真を見た段階でやっておかないと、いざ現場に行ってみて、立ち尽くして、
「・・・どうする?」
「まぁ今日は時間もないし、また今度にしようか」
「やらなきゃいけないのは良く分かった!」
なんていう不毛な会話で時間をムダにしてしまいます。
何をやるのかを事前に具体的に話し合う!
ぜひやってみてください!
ステップ4 5Sをいつやるのかを具体的に
さぁ、どこをやるのか、具体的に何をやるのかも決めました。
そうすると、その作業にどのくらいの時間がかかりそうなのかも見えてきます。
改めて言いますが、どこに対して、何をやるのかを決めるからこそ、どのくらいの時間がかかるのかが読めるんですね。
なかなか5Sがうまく進まない企業は、
「この時間は5Sの時間!」
と先に決めちゃうのはいいんですが、限られた時間でできることしかやらなくなってしまい、大きな改善にはつながらなくなってしまうんですね。
ちょっと脱線しましたが、いつやるのかもチームで事前に決めておきたいところです。
やっぱり一人で進めるのは、けっこう腰が重いものです。人によっては黙々と作業する方が好きな人もいるのでしょうが、大掛かりな作業が必要な場合にはどうしても複数人の方が良いです。
例えば、
・今週水~金の13:00~13:15の時間でみんなでやる
・今週木曜の全体会議の後、9:15~9:45でみんなで集中的にやる
そんなことを決めてくんですね。
実はこのやる時間を決めるというプロセスそのものは、活動の定着にとって非常に重要です。
早い話が、何事も計画的に!ということです(笑)
ステップ5 5Sの記録を積み上げてモチベーションアップ
ここまで具体的に活動してきていれば、あとは、それをどのように継続していき定着させるのかが焦点になってきます。
これが意外と難しい。。
いくつかのお客さまでの成功事例としては、
成果を見える形に残す
ことが共通のポイントとして挙げられます。
「どこをやるのか」のときに写真を撮りました。それと同じ画角で、5S作業終了後の写真も撮るんです。
いわゆる、Before-Afterです!
実際に、記録としてはこんな項目をA4用紙1枚に残していくと良いでしょう。
・活動No.(Aチームの5番目の活動なら、A-005とか)
・実施個所(みんながそれと分かる表現で)
・実施者
・実施日時
・やる前の写真
・やった後の写真
・今後維持していくためにはどうする必要があるか
記録はなかなか面倒な作業かもしれませんが、なにもかしこまった感じでやらなくても良いです。
お客さまに提出するものでもなし、気軽に書ける範囲で書けばよいのです。
とはいっても、見る人が分かるように書くことは意識してくださいね(笑)
もう一つ、モチベーションを保つための事例で、
【お客さまに誇れる現場にしよう】
と目標を掲げていた企業様がやっていたことは、お客さまの案内係の従業員をローテーションで担当したことです。
お客さまを案内してみると、意外なことに気が付き、改めて気になることが出てくるものです。
そうした感覚をチームみんなが体験することによって、5S活動の定着を図っている企業様もありましたので、ご参考まで!
ステップ6 最後の仕上げに5Sの評価制度も
いよいよ最後の仕上げです。
実際に良い活動は評価しないといけません。それもまた定着させるポイントです。
これもまた順番を逆にやりがちなんですが、まず評価制度を先に作ろうとしてしまう失敗もよく見かけます。
「5Sやった人を評価するよ!って言っても全然進まない。。」
そりゃあそうです。
5Sを評価すると言われて、どこをどうやってやったらいいのか、何をどの程度やったら評価されるのか分からないのですから!
というわけで、ここまでのSTEP1~5を実施した上で、評価制度を作りましょう!
とはいっても、STEP1~5を実践していると、評価制度はかなり自由度が高く、企業や組織の文化に合ったやり方をそれぞれで決めれば良いと思います。
とあるお客さまで『従業員投票』を実施していた事例です。
先ほどのSTEP-5の記録項目のところで、“活動No.”があったのはそのためです(笑)
半期に1回、
「これは良かったね!」
というものに従業員が投票して、その期間の最優秀活動を決めて、チームに金一封を出すというものでした。
その会社は、従業員20名に満たない小規模企業ですが、いや、だからこそかもしれませんが、従業員が方針を正しく理解して5S活動に取り組んでいらっしゃいます。
こうしたチームビルディングは見習いたいものです。
さいごに
製造業においては、5Sは基本中の基本であるため、たかが5Sと思われがちです。
ところが、この記事で紹介したSTEP1~6を、少し抽象度を上げて振り返ると、
- 目的を明確に決めて共有する
- 何をするか決める
- タスクに落とす
- 期限を決める
- 記録を残す
- 制度を整える
まるでプロジェクトマネジメントですね!
たかが5S、されど5S。
遂行と定着の要素はこんな基本的な5Sに詰まっていると考えれば、5Sを出来ない会社に良いプロジェクトはできない、ということも納得できますね!
職場の5S、組織での5S活動にお困りの方は、ぜひご参考になさってください。
また、その他、GEMBAコンサルティングの実績事例の一部を、各案件の状況や提案した内容および実施した内容をまとめた資料として無料でダウンロードいただけるようにしました。
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